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番外編:ガチャポン(ガシャポン)製作講座


はじめに

 最近ますますガチャポン(ガシャポン、カプセルトイ)・食玩・ボックスフィギュアの類に嵌ってます。近頃は女性とかでもこのテの物を好んで購入される方も少なくない思いますが、組み立てに関しては、そのままはめ込んで終わりという方も少なくないのではないのでしょうか。
 最近のガチャポン類は出来がいいのでそのまま組んでも十分見れますが、“ちょっとの工夫で”(神○川か…(^^!)より見栄えがしたり、また、中には組み立てにくい物もあるので、私なりの作り方を公開してみたいと思います。
 なお、以下に述べる組み立て方は初心者を対象としたものですので、マニアックな改造とかは期待しないでください(笑)


素材

 簡単な物を組み立てて解説してみても参考にならないので、あえてくせ者の素材を選んでみたいと思います。
 今回組み立ててみるのは、「ミレニアム デジタルギャルズパラダイスフィギュアコレクション 顔のない月」(長い…(^^!)の、鈴菜ちゃん沐浴バージョンを選んでみました(写真1)。
 結構ボリュームのあるフィギュアなのに、カプセルに無理やり入ってます(写真2)。そのために、ほとんど間違いなく部品が変形しているのです。

(写真1) (写真2)
カプセル外観 カプセルの中身


下準備

 一番変形のひどかったのが写真3の二つのパーツ。カプセルの形に添って変形していました。この変形は、鍋にお湯を沸かして3分間ほど煮ると元に戻ります。このような変形のひどいパーツ以外にも歪みが出ている可能性があるので、一応全てのパーツを煮ます(写真4)。
 あと、噂によると、どうやらお湯で煮ることによって変形を直すほかに、材質を強化する効果もあるみたいです。

(写真3) (写真4)
変形してしまってるパーツ お湯で煮ます


 で、煮た後のパーツがこれ(写真5)。写真3と比較してみてください。部品の反りが治っているのが分かります。

(写真5)
変形の直ったパーツ


 よくありがちなのが、塗装ミスです。写真6は右足のパーツですが足の付け根にあたる部分に、白い塗料が誤って付いています。これは綿棒にリキテックスのリムーバーを付けて拭くときれいに落ちます(写真7)。リキテックスのリムーバーがなければ、文房具店で売っている瞬間接着剤はがし液でも落とすことができます。
 個人的にはリキテックスのリムーバーの方がお勧めです。こっちの方が流動性が良く、筆に付けて使用することもできます。瞬間接着剤はがし液の方が粘度が高く使いにくいと思います。この他にもVシンナーというソフビ専用塗料のシンナーでも剥がすことができますが、入手しづらいのと、臭気が強烈で身体にも悪そうなのでお勧めできません。

(写真6) (写真7)
塗装ミスのあるパーツ 塗装ミスの修正後


 このフィギュアでは、太腿の真ん中にくっきりとパーティングラインが入っています(写真8)。パーティングラインとは、型に樹脂を流し込んで成形する際に型の継ぎ目の部分に生じる線のことです。これが完成時に非常に目立つ位置にくるので、耐水ペーパーで削り落とします。耐水ペーパーは、400番で荒く削ってから800番で仕上げるのが適当かと思います。この際注意するのは必ず水を付けて水研ぎしてください。水を付けずに空研ぎすると、耐水ペーパーの目詰まりが激しいだけでなく、素材のPVC(ソフビ)の性質により毛羽立った感じになってしまい、仕上がりが悪くなります。
 他にカッターやアートナイフの刃を左右に動かして削り取る方法(通称カンナがけ)でも大雑把には削ることができます。カンナがけは手の先とか耐水ペーパーで研磨しにくい細かな部分では、これだけで仕上げても構いませんが、耐水ペーパーで研磨できる部分については、仕上げに耐水ペーパーをかけておいた方がいいでしょう。
 このフィギュアは、両足の他に、両腕も目立つ位置にパーティングラインが大きく入っているので、それぞれ耐水ペーパーで削り落とします。

(写真8)
パーティングラインのある部分


組み立て

 ガチャポンの類には、はめ込むためのタボがありますが、それもときには長すぎて、はめ込みにくかったり、他のパーツと干渉することがありますので、カッターやアートナイフで適当な長さまで切断します。もっとも、短くするとかえって組み立てにくくなったりすることもあるので、ケースバイケースで判断してください。
 写真9が切断前、写真10が切断後。

(写真9) (写真10)
タボ切断前 タボ切断後


 他のタボも切断します(写真11)。

(写真11)
他のタボも切断


 タボを切断したために強度が不足するのを補うためと、普通でも補強を要する場合があるのとで、組み立てには瞬間接着剤を用います。写真12のように、先に細いノズルを付けて、組み立てた後の隙間に毛細管現象を利用して染み込ませるように流し込みます。このノズルは瞬間接着剤に付属していることもありますが、付属していないときは模型店などで入手することも可能です。
 少量でもかなり強力に補強できるので、使いすぎには注意してください。はみ出すととてもみっともなくなります。

(写真12)
ノズルを取り付けた瞬間接着剤


 写真13のように、平べったいパーツをつなぎ合わせるようなときは、セロテープで仮止めをしておいて、その接合面の裏の隙間から瞬間接着剤を流し込みます。

(写真13)
セロテープで仮止め


 髪の毛のパーツに干渉するため、着物の上の部分を先に組み立てます。この組み立て方は、左右から合わせて、手で軽く押さえておいて接合面の隙間に瞬間接着剤を流し込むと上手くいきます(写真14)。後ろ髪のパーツは多少合いが悪いので、部品同士を合わせてみながら、干渉する部分を慎重に削ります。ブルーグレーの塗装の剥げている部分が削ったところです(写真15)。

(写真14) (写真15)
着物のパーツの組み立て 合いの悪いパーツの修正


 後ろ髪のパーツを接着し、固定した後(写真16)、両腕を取り付けた後、後ろ髪の上部のパーツを取り付けます(写真17)。
 この順番をきちんと守らないと組み立てるのは不可能でしょう。このガチャポンの難しいところですね。組み立てる順番を考えさせられます。

(写真16) (写真17)
組み立て手順を考える1 組み立て手順を考える2


 このように一応ボディーのパーツは全て組み付けてみました(写真18)。

(写真18)
組み立て完了


 このままでも別にいいのですが、このように肌の露出度が高いガチャポンフィギュアの場合、素材のPVC(ソフビ)の特性で、肌にへんなテカリが出ます。そこで、ドールの仕上げにも使用した、Mr.スーパークリアつや消しを吹き付けると肌色も落ち着いていい質感となります。汚れ防止にもなるのでお勧めですよ。

Mr.スーパークリアつや消し
ミスター・スーパークリアー・つや消し


 最後に付属の椿の花と花弁を接着剤で固定して完成です。この花弁のような極小のパーツを接着するときは、普通の瞬間接着剤よりもゼリー状瞬間接着剤の方が上手くいきます。さらに、ペーパーパレットやポリの袋の上に一旦ゼリー状瞬間接着剤を出して、それを爪楊枝を使って塗って取り付けると、付けすぎることもありません。
 このシリーズ、組み立てには苦労しますが、出来上がると見栄えはしますね^_^

   完成写真1


   完成写真2

 ざっとまあ、こんな感じで作っています。ご参考になれば幸いです。


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