トップ > ドール製作講座 > オビツSBタイプ頸部へのボールジョイント組み込み 


オビツSBタイプ頸部へのボールジョイント組み込み
(2009年2月12日 記述改訂)

 オビツボディーSBタイプはかなり使い勝手の良い素体ですが、構造上、首のジョイントの保持力が良くありません。そこで、ここにボールジョイントを組み込んで保持力を向上させようというのがこの改造の狙いです。

1.使用するパーツ

 使用するボールジョイントは、コトブキヤのモデリングサポートグッズシリーズのボールジョイントL。メス側は両側の不要な部分をあらかじめ切断しておきます(写真1)。

 残念ながら現在発売されているボールジョイントの殆どがダークカラーですが、ヘッドをはめてしまえば隠れてしまいますので、色については心配することはないかと思います。

 以前はボールジョイントにイエローサブマリンから発売されている関節技シリーズを使用していたのですが、材質のポリカーボネイトとソフビの可塑剤との相性が悪いのか、時間が経つとボールジョイントにひびが入ってきたので、現在では上記のものに代えています。


(写真1)


2.ボディーの分解

 まず、オビツボディーSBタイプ素体の上半身を外したうえ、内部骨格からソフビ製の外皮を脱がせます(写真2)。熱いお湯にしばらくつけておくとソフビの外皮は軟らかくなるので脱がせやすくなります。この作業に際しては、火傷に注意してください。また、ソフビの外皮は丁寧にやると必ず外せますので、ムリに力を加えて破損させないよう注意してください。

(写真2)


3.頸部ジョイントパーツの加工

 内部骨格裏面のネジをゆるめると、頸部ジョイントの部品は簡単に取り外すことができます。ちなみに、このパーツの断面図及び実測寸法は図1のようになっています。ノギスで計ったサイズですので、あくまでも目安ぐらいに考えてください(^_^;)

 このパーツを元々あったピン穴ぐらいの位置で輪切りにします。大体、上から3.5ミリぐらいの位置です(図2参照)。切断の目安に、細く切ったマスキングテープを巻いておくと作業がやりやすいです(写真3)。

 切断後、ボールジョイントのメス側のパーツとの接合面を合わせるために、リューターを使って切断面を図3、写真4のようにすり鉢状に削っておきます。

 次に、このパーツの円筒形になっている部分の下から2.5ミリぐらいの位置に、図4、写真5のようにピンバイスで小さな穴を開けておきます(写真の穴は直径0.8ミリ)。この穴は強いて開ける必要はないのですが、空気穴のために開けておきます。これを開けておかないと、後にエポキシ系接着剤で接着する際に、ボールジョイントのメス側パーツとで、ピストンとシリンダーのような関係になり、空気圧で浮き上がってしまうのです。


(図1)

(図2)

(写真3)

(図3)

(写真4)

(図4)

(写真5)


 タミヤ模型製の外径5ミリ(内径3ミリ)のプラパイプを約6ミリと約15ミリの長さに切断します(写真6)。長さはそれほど厳密でなくてもかまいませんが、短い方のパイプは、6ミリより長いと他のパーツと干渉するので短めの方がいいです。

 このプラパイプをボールジョイントの短い方をメス側パーツの軸に、長い方をオス側パーツの軸に接着します(写真7)。

 接着にはエポキシ系接着剤を使用しました。瞬間接着剤でもかまわないと思いますが、白化という白く曇る現症で汚くなるのを防止したいのと、強度ではエポキシ系の方が勝っているので、エポキシ系接着剤を使用しました。ちなみに使用したのは、5分硬化タイプです。最近では1分で硬化するタイプもありますが、硬化時間があまり短いと作業しづらいのでこれくらいの硬化時間がいいと思います。

 このようにプラパイプを接着したボールジョイントのメス側パーツを、先ほど加工した頸部ジョイントパーツと接着します(写真8、9)。


(写真6)

(写真7)

(写真8)

(写真9)


4.胸部パーツの加工

 内部骨格を分解したついでに、頸部ジョイント自体の可動範囲も広げておきます。
 写真10は分解した胸部パーツですが、赤で丸く囲った部分をリューターで削ることにより、可動範囲を広げます。


(写真10)


 このように削っております。分かりにくいかもしれませんので角度を変えた写真を2枚あげておきます(写真11、12)。このように削ることにより、頸部の可動範囲が広がります。具体的に言うと、俯いたり、見上げたりするポーズが取らせやすくなりました。


(写真11)

(写真12)


5.組み立て

 以上のように加工したパーツを再び元の通り組み立てます。改造した内部骨格にソフビの外皮を被せて組み立てたら、このような感じになります(写真13)。

 外皮をかぶせる際には、そのままでは非常に被せにくいです。外皮の内側に、少しだけハンドクリーム等を塗布すると被せやすくなります。

 最後に、ボールジョイントのオス側パーツを組み込めば完成です(写真14)。


(写真13)

(写真14)


6.完成

 改造の終了した素体にヘッドを付けてみました。改造前の状態なら、このようなツーテールヘッドは必ず後ろに引っ張られた感じで上を向いてしまっていたのですが、ボールジョイントを組み込んで保持力を向上させた結果、顎を引かせたポーズもとれるようになりました。



 トップ > ドール製作講座 > オビツSBタイプ頸部へのボールジョイント組み込み