カーム様製作日誌 ボディー編

1.材料の調達及び分解

 素体はボークスのエクセレントベースのミニで、モデル:Bタイプ(プヨ胸バージョン)を選択。
 カーム様はプヨ胸ぐらいがちょうどいいと思います。色は美白タイプ(写真1)。
 ヘッドも同じくミニの美白タイプ。明るい金髪です。

(写真1)


 さて、この素体を改修しやすいように分解していきます。
 まず、道具を使わずにはずせるだけ分解したのが写真2です。

(写真2)


 上腕部や膝の部分はポリ製のジョイントがついています。これをはずすには、可動部の一方にドライバーなどの棒状のものを差し込んでジョイントをはずします(写真2)。ここで勘違いしないでくださいね。棒状のものを差し込むといっても、これをこじってジョイントをはずすのではありません。ジョイントを手ではずそうとすると回転して力が逃げるので、その力が逃げる方向に差し込んでおいて力が逃げるのを防止するんです。

(写真3)


 腕のパーツを全て分解すると写真4のようになります。

(写真4)


 胴体部分を裏返すと、写真5のように全部で9本のビスで固定されています。このうち、胴体中央部と両足のビスを除いて、上半身・腰部の計3本のビスをはずします。はずす道具は100均で売っている安物ドライバーで十分です。やや小さめのドライバーを選んでください。

(写真5)


 3本のビスをはずして胴体部分を分解すると写真6のようになります。
 これで改修の準備作業としての分解はは完了です。細かいパーツが多いので、無くさないようジップロックのビニール袋に入れるなりして注意してください。

(写真6)


2.改修ポイントの検討

 買ってきて思ったんですが、このミニタイプの素体出来がいいですよ。同じエクセレントベースでも、27センチドール用のものよりはるかに出来がいいです。関節はポリ系の素材でできてるし、接合部分もはるかにきれいだし。
 それでも改修すべき部分はあるので検討します。
 まず、パーティングラインを瞬間接着剤で埋めて整形する点やバリを取るのは標準コースということで。
 次に、首のジョイントは必ず改修すべき。以下の写真7のように、ロンギヌスの槍みたいな変な形。

(写真7)


 ボークスの設計の古い素体全てに言えることですが、こんなのだと、ヘッドの取り付けの際にかなりのストレスが加わるのでヤバイです。特にカーム様の場合、耳をつけてからヘッドを装着するのでできるだけストレスのかからない形に変更します。場合によってはボールジョイントにするかもしれません。

 それから、写真8のように、太腿部分のパーツの裏側には大きなビスの穴が開いてます。カーム様といえば太腿ですので(バレンタイン記念壁紙のイメージが強い)、できるだけ太腿はきれいにしたいので、この穴をふさぎます。

(写真8)


 最後に問題となるのは尻尾です。これをどうやって取り付けるべきか。
 一番簡単なのは、おしりのパーツに穴を開けて、そこに尻尾を固定するのですが、それだと尻尾の角度が固定されてしまうし、後から気に入った尻尾が見つかったときに交換できない(笑)
 そこで、ボールジョイントを使って取り付けてみたいんですが、おしりのパーツの方にはボールジョイントを仕込めるだけのスペースがない。困った…。あまり不細工な形にもしたくないので、埋め込まなくても目立たない小型のボールジョイントを使用します


3.穴をふさぐ

 では、具体的に穴をふさぐ手順を紹介。
 穴をふさぐには、素体に付属していた穴埋め用の棒状のパーツを使います。
 まず、穴にパーツを差し込みます(写真9)。そして、差し込んだ後に、本体パーツと穴埋め用のパーツの隙間に瞬間接着剤を流し込みます。ここでの注意点は、差し込む前に接着剤をつけないこと。パーツが差し込めなくなってしまいます。

(写真9)


 接着剤が硬化した後、はみ出た部分をニッパーで大まかに切り取ります(写真10)
 真ん中に小さな穴があるのは、穴埋め用のパーツが完全な無垢ではなしに、内部が空洞になってしまっているためです。ある意味、不良品といえましょう。これが普通のプラモデルなら、プラ棒をライターで焙って細くして、穴埋めに使えますが、これは素材がABS樹脂のためそれができません。まあ、大きい穴があいたままの状態よりはマシぐらいに考えてください。

(写真10)


 そして、なおはみ出ている部分はカッター(私はオルファのデザインナイフを使用)を使って削り取ります(写真11)。この後、他の部分の整形の際にサンドペーパーをかけて仕上げます。同様に、胴体部分の穴もふさぎます(写真12)。

(写真11) (写真12)


4.首のジョイントの改良

 まず5ミリの太さのプラ棒をロウソクであぶって柔らかくしてゆっくり引っ張ると部分的に細くすることができます(写真13)。

(写真13)


 で、これのいらない部分を切り取り(写真14)、長さを調整します(写真15)

(写真14) (写真15)


 写真では分かりにくいかもしれませんが、この棒の太い方の断面の中心に、直径1.6ミリの穴を開けます(写真16)。

(写真16)

 そして、開けた穴に太さ1.8ミリのネジをねじ込みます(写真17)。ねじ込んだ後、ペンチとかを使ってネジの頭の部分を切断(写真18)

(写真17) (写真18)

 次に、もともと付属していた頭部ジョイントのロンギヌスの槍(しつこいな…(^^!)の先の部分を切り取って、ヤスリがけをして平面を出しておきます(写真19)。

(写真19)


 この部品も同様に、中心部に直径1.6ミリの穴を開けます(写真20)。

(写真20)


 この穴に、先に作ったパーツのネジの部分をねじ込み、二つのパーツを合体させます。
 接合部の隙間に瞬間接着剤を流し込んでさらに補強します(写真21)。

(写真21)


 瞬間接着剤が硬化してから、出っ張った不要な部分を削り取れば改良版首ジョイントの完成です(写真22)^_^

(写真22)


5.ペーパーがけ

 ボディーの継ぎ目とか、前述の穴埋めの後なんかをきれいに整形するために行う作業です。
 地味で単調で面白くないにもかかわらず仕上がりが左右されるというモデラー泣かせの作業です。

 道具は多くは使いません。私が使うのは耐水ペーパの#320、造形村スポンジペーパーの整形・表面仕上用と、サフ吹き前下地仕上用。
 耐水ペーパーは、1mm厚プラ板2枚を接着剤で貼り合わせたものに両面テープで固定して使用すると楽です(写真23)。スポンジペーパーは、予め写真の右側のように小さく切り分けておくと作業がしやすい(写真24)。

(写真23) (写真24)


 で、実際のペーパーがけの作業ですが、写真は省略(笑)。だって、両手がふさがっているし、私のデジカメでは作業前と作業後の変化を画像で再現することは難しいのです。どうせWebだと写真のディテールもつぶれますし。
 手順は、まずプラ板に貼り付けた#320耐水ペーパーで大まかにガシガシ削って、その後、整形・表面仕上用のスポンジペーパーできれいに曲面を出します。そのあと、サフ吹き前下地仕上用のスポンジペーパーで、荒れた表面をならして仕上げます。と、書いてしまうと簡単ですが根気のいる作業です。
 ペーパーがけの終わった素体のパーツが写真25、26です。写真では分かりませんが、ペーパーがけをした後、まだ洗浄をおこなってないので粉吹いてます。この洗浄作業は塗装のときに言います。

(写真25) (写真26)


6.尻尾の取り付けの準備

 尻尾の取り付けの準備をおこないます。
 尻尾の取り付けに用いるのは、コトブキヤ製M.S.Gシリーズ、ポリユニット ボールジョイント<S>です(写真27)。定価210円。
 写真28で対比用に写っているのは単4電池です。

(写真27) (写真28)


 これがおしりの部分のパーツ(写真29)。ここにボールジョイントを取り付けるための穴を開けます(写真30)。
 なんだか開ける様子を写していると変な趣味を持ってるみたいだ(^^!

(写真29) (写真30)


 で、穴を開けた状態がこれ(写真31)。やっぱり尻尾なのだから、尾てい骨あたりから生えているようにしたいので、この位置に決定。
 それにこの位置だと、内部の空間で干渉するものがないので好都合なのです。ここで開ける穴の大きさはきっちり2ミリです。これより大きくても小さくてもボールジョイントのメス側の取り付け部分の太さと合わないのです。

(写真31)


 仮にボールジョイントを取り付けてみるとこんな感じになりました(写真32、33)。これぐらいならそう不細工ではないと思います。どうせ服とか着せると目立たないでしょうし。欲を言えば素材が肌色のボールジョイントがあればよかったのですが。他のドールサイトさんの情報によると肌色のボールジョイントあるみたいなんですが、私は売ってるのを見たことがないんです。
 それと、まだボールジョイントは接着剤で固定しません。この後、表面処理をするのでそれが終わってから取り付けます。

(写真32) (写真33)


7.表面処理

 表面処理の前に、ペーパーがけなどで汚れた表面を洗浄しておきます(写真34)。
 洗浄に使うのは、ごく普通の台所食器用の中性洗剤です(ママレモンとかチャーミーグリーンの類)。
 洗剤をスポンジや歯ブラシにつけてよくこすります。細かい部分には削りカスとかがよく残っているので念入りに。

(写真34)


 洗い終わったら、よく濯いで水気をきって、キッチンペーパーで拭いて、乾燥させます(写真35)。
 このとき、ティッシュペーパーは使わないように。ティッシュペーパーは繊維がよく付くので、後のスプレー処理に悪影響が出ます。

(写真35)


 乾燥させた後、表面に仕上げ用の塗料をスプレーします。
 使うのは、ミスターホビーの「Mr.スーパークリアー つや消し」。これをまんべんなく薄く吹き付けます。

Mr.スーパークリアー つや消し


 吹き付けるときのコツとしては、パーツの前でスプレーノズルを押すのではなしに、スプレーを吹くことによって作った塗料の霧の中にパーツをくぐらせる感じでしょうか。そして、一度に厚く吹き付けないでください。乾燥した後に細かい気泡が入るような感じになって仕上がりが悪くなります。あと、湿度の高い日に吹き付け作業をするのは避けてください。空気中の水分と塗料とが反応してカブリという現象が生じ、白く曇ったような仕上がりになってしまいます。
 細かいパーツは洗濯ばさみに挟んだり(写真36)、爪楊枝に両面テープを巻き付けてパーツの持ち手を作る(写真37)と作業が楽です。

(写真36) (写真37)


8.組み立て

 写真38はおしりのパーツを裏側から見たものです。真ん中にポッチリと黒く見えるのが、ボールジョイントのメス側を差し込んだのを裏から見た部分です。ここに瞬間接着剤を流し込んで固定します。瞬間接着剤を使用する際には、写真39のように、模型店で売っている細いノズルをはめて使うとやりやすいでしょう。

(写真38) (写真39)


 尻尾は100円ショップで売っていたキーホルダーを分解(写真40)。尻尾の部分だけ取り外し、写真41のようにボールジョイントのオス側を取り付けてまたもや瞬間接着剤で固定します。

(写真40) (写真41)


 このようにして出来上がったパーツを組み立てると完成です(写真42)。

(写真42)


 ご覧のように尻尾は可動式となりました。上下左右に動きます。けど、可動範囲を超えると簡単に外れてしまいますが。
 あと、ちょっとジョイント部分が目立つな…(^^!
 なんとか目立たない服を見つけなくては。



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