カーム様製作日誌 アイペイント編

注) 以下の記事は、かなり古い記述となっています。アイペイントの最新の記事をご覧になりたい方は、こちらのページをご覧ください。
   用具その他の解説を詳しく記述しております。


 それでは、植毛ヘッドにアイペイントを施す工程を紹介します。
 それと、ちょっとお詫びなんですが、この工程を撮影しているとき、どうもデジカメの調子が悪くて、みんなピンぼけの写真になってしまいました。今さら撮影をやり直すこともできませんので、どうかピンぼけ写真でご了承ください。アイペイントの詳細に関しましては、製作講座で改めて紹介いたします。

 お湯パーマの工程を終えた植毛ヘッドを、櫛やピンセットを使って、前髪と後ろ髪とに分けます。アイペイントの際の邪魔にならないよう、ビニールタイで束ねておきます(写真1)。

(写真1)


 アイペイントには全てバニーコーポレーションのリキテックスを使用します。別にアクリル水彩絵の具であれば、ホルベインのアクリラとかでもいっこうに構いません。メジャーなのと入手しやすいのとでリキテックスを使用しているだけです。
 まず、基準線を引きます。茶色をペーパーパレットの上ではじく寸前ぐらいまで薄めて、写真2のように、鼻の線と眉間とをクロスさせるように十文字の線を引きます。基準線や下書きに鉛筆を使用する方もいらっしゃいますが、私はこっちの方が好きです。鉛筆は下書きには薄くて、かといって強く描くと後で消えにくいんです。それと、色に茶色を使用するのは、黒とかだと濃すぎて後からきれいに消えないのと、茶色くらいの濃度だと上から塗りつぶしてごまかすことも可能だからです(^^!

(写真2)


 基準線の水平の線に垂直に線を引きます。このクロスする部分が瞳の中心となります(写真3)。このとき、左右の瞳の中心が等距離となるように、基準線との間を測りながら線を引きます。距離を測るときに使用するのは、鶴首ピンセットです。これをデバイダー(製図に使うコンパスのような道具)の代わりに使って距離を測ります。もしデバイダーをお持ちの方はそれをお使いください。その方がはるかに正確ですから(でも、デバイダーって高いんですよね…)。

(写真3)


 左右のクロスを中心として瞳の輪郭を描いてゆきます(写真4)。、左右で大きさが異ならないように、ここでも鶴首ピンセットで大きさを測りながら描いてゆきます。

(写真4)


 瞳の輪郭が描けたら、それに沿うようにアイラインを描いてゆきます。後ほど濃い色で描き加えますので、この段階では細く輪郭を描いておくだけにします(写真5)。

(写真5)


 この段階までくれば、基準線などの不要な線を消しておきます(写真6)。消すのには、リキテックスのリムーバーを染み込ませた綿棒を使用します。消す部分によって適宜、太軸、細軸、化粧用などの各綿棒を使い分けてください。

(写真6)


 さて、ここから本塗りです。本塗りでは、断りがない限り、リキテックスを薄めるのには水ではなくグラデーションメディウムを使用します。これを使用すると乾くのが遅くなる分、仕上がりの平滑性が上がります。
 まず白目を塗ります(写真7)。使う色はチタニウムホワイトに透明感を出すため若干のパールメディウムを混ぜたものを使用します。濃さは、はじく寸前ぐらいまで薄めます。これぐらい薄い方が仕上がりがコテコテしていなくて好きなのです。

(写真7)


 白目が乾いたら、瞳のベースとなる色を塗ります。今回のカーム様は瞳を緑のグラデーションにしたいので、ホワイトに少しだけ緑を混ぜた色をベース色とします。これで瞳となる部分を塗っていきます(写真8)。アイペイントにおいては最も広い面積となりますので、ムラとかが気になるかもしれませんが、後で虹彩や瞳孔を塗ると目立たなくなりますので、それほど神経質になることもないかと思います。

(写真8)


 ベースを充分に乾かした後、瞳にグラデーションを入れていきます。今回は上から下へと緑から黄色に変化するようにグラデーションを入れます。使用するのは、リキテックスのなかでも透明色のものです。これをグラデーションメディウムでホントにシャブシャブに溶いて塗っていきます。途中で色を変えても、乾く前ならば上手い具合に絵の具が混じってグラデーションがついてくれます(写真9)。乾くのがあまりに遅いようでしたら、この部分に限っては、リキテックスを溶くのを、グラデーションメディウムに替えてペインティングメディウムを使っても構わないかと思います。
 この部分が最終的に光彩のグラデーションになります。

(写真9)


 次に瞳の輪郭と瞳孔を描くわけなんですが、ここでは前の段階のグラデーションを充分に乾かすよう注意してください。アイペイントではどの段階も充分に乾かすよう注意すべきなんですが、グラデーションを入れたときは特に乾くのが遅いので、この段階はほかの段階以上に注意してください。
 で、瞳の輪郭と瞳孔ですが、色はビリジアン・ヒューにウルトラマリンとかを混ぜた深みのある濃い緑で塗ってみました(写真10)。

(写真10)


 瞳が完成したら、アイラインを引いていきます(写真11)。先に使った瞳の色に黒を混ぜてさらに濃い緑を作って塗ってみました。私は大体アイラインは瞳と同系色の濃い色を使用します。カーム様のイラストを見ているとアイラインはほとんど黒なんですが、ドールで同じようにアイラインをただの黒で塗るとどうも変なメイクになってしまうように思うのです。なんだか芸人がコントのときにするメイクのような(笑)。ですから、ドールでアイラインを黒だけで塗るのは極力避けています。
 あと、筆なんですが、これまでの段階は、タミヤモデリングブラシの面相筆小、同面相筆細を塗る面積によって使い分けてきましたが、これから先の段階は、細い線を引く作業が多いので、もっぱらタミヤモデリングブラシの面相筆極細と、ボークス造形村2/0番、5/0番を使います。アイラインを引くときは、私は面相筆の極細を使います。

(写真11)


 アイラインを引き終わったら、まぶたの二重のラインと眉毛を描きます。使う色はバーントシェンナーに少しだけ黒を混ぜて濃くしてあります。細い線を引くときは塗料の濃度がポイントとなりますので、グラデーションメディウムでもっとも線を引きやすい濃度まで調整してください。私が行うアイペイントでは、瞼の二重のラインを引くときが最も細い線を引きます。このときはボークス造形村2/0番または5/0番を使用しますが、このアイペイントでは2/0番を使いました(買った5/0番がハズレで、筆先のコンディションが悪かったんです(^^!)
 二重と眉毛が描けたら、瞳の最後の仕上げにハイライトを入れます。これはリキテックスのソフトタイプのチタニウムホワイトをチューブから出して、薄めずそのまま使います。これやるときはホント、ソフトタイプの粘度がベストなんですよ。塗るというよりも、筆先に付けて塗料を置いていく感じでしょうか(写真12)。

(写真12)


 普通のペイントならば、最後にリップを描くところですが、カーム様のような幼いキャラの場合、リップを描くとかえって変になる場合がありますので、今回は、唇の間にバーントシェンナーでラインを引くだけにとどめておきます(写真13)。

(写真13)


 これでアイペイントは終了です。ドール作家さんの中には、この後マットバーニッシュという、つや消し保護ニスをアイペイントの上に塗る方もいらっしゃいますが、私はまだ試していませんので、怖くて塗れませんでした(一応買ってはあるのですが)。




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